沖縄懇話会30周年記念誌
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21世紀の到来を10年後に控え、日本国内はもとより世界的にも政治経済状勢は大きな激動期を迎えている。ソビエトの経済改革と東ヨーロッパの民主化のうねりは、戦後半世紀に及ぼうとする東西の冷戦構造を崩壊させ、平和な世界への新しい道は開かれつつある。日本国内では、経済が順調な成長をとげ、戦後有数の好景気が続いている中で、国際化の潮流が更に加速しているといえよう。一方、沖縄県内の経済状勢は、昭和47年の本土復帰以来、財政投資による道路や学校など社会資本の整備が進み、二次に及ぶ沖縄振興開発計画によって本土との格差は大幅に縮小しつつある。しかし、沖縄の産業経済の現実を正面から問うて見るとき、亜熱帯農業への指向や国際観光リゾ―ト地の形成などが進展しているものの、農業は海外の一次産品との競争に直面し、又、観光面でも太平洋地域のリゾート地と競合する状況になっている。更に、二次産業の立地は、復帰後18年が過ぎた現在もかんばしくない。今、沖縄は第三次振興開発計画の策定に向けて取組みが始動したが、特に東西の緊張緩和の中で、在沖米軍基地の返還が進■し、その跡地の有効利用が緊急の課題となってきた。又、近世に於ける大航海時代を再現しようと試みられている沖縄自由貿易地域(フリートレードゾーン)も、その活性化の為には抜本的な見直しを行わなければならない。このような現状を考える時、沖縄の振興開発の為には、まず、地元沖縄と本土の経済人による新しい協力交流の場を作ることが最も重要だと考え、ここに沖縄懇話会を設立する。当懇話会は、沖縄の振興開発への提言と同時に、リゾートをはじめとする経済開発や産業の誘致など、沖縄の抱える諸問題を積極的に取り上げ、その実現にむけて努力し、併せて文化や地域社会の一層の発展向上に寄与せんとするものである。1990(平成2)年10月9日沖縄懇話会 設立趣意書

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