沖縄懇話会30周年記念誌
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国立劇場おきなわ誘致沖縄科学技術大学院大学誘致1181972(昭和47)年、沖縄の本土復帰に伴い、組踊は国の重要無形文化財に指定されたが専用の劇場がなかった。芸能団体や沖縄県知事が国立組踊劇場の建設を国に要請したものの、長らく成果を上げられずにいた。2002(平成14)年、沖縄の本土復帰30周年記念式典で小泉総理が設置構想の推進について表明。同年、第四次沖縄振興特別措置法が制定され、「国際的に卓越した教育研究を行う大学院等」を設置することが決定した。設置準備を行う独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構の理事長にはシドニー・ブレナー博士(2002誘致活動が停滞するなか、これを全県的な運動にしようと「国立組踊劇場誘致促進期成会」(以下、期成会)が1991(平成3)年に発足。会長には稲嶺惠一氏が就任し、財界人の人脈を生かして折衝を重ねた結果、事態は大きく前進した。1996(平成8)年9月5日には沖縄懇話会が1000万円を助成し、能と組踊の比較鑑賞公演「母と子の絆〜物狂いのドラマ」を東京の国立能楽堂で開催。約660人の観客が能の「隅田川」と組踊の「女物狂」の競演を楽しんだ。古川貞二郎内閣官房副長官もこれを鑑賞。公演から5日後の9月10日、「沖縄問題についての沖縄科学技術大学院大学(Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University以下、OIST)開学のきっかけとなったのは、2001(平成13)年4月から翌年9月まで、沖縄担当相と科学技術政策担当相を兼任していた尾身幸次氏(現OIST理事)の大学院大学構想。沖縄における知的産業クラスターの必要性を訴える沖縄懇話会の声を受け、自身の経験から沖縄に世界レベルの科学技術系の大学院大学を設立するという構想が生まれた。沖縄の芸能を語る上で、今や欠かせない存在の国立劇場おきなわ。大劇場、小劇場、大中小の稽古室、資料展示室、記録映像も見られるレファレンスルーム(図書閲覧室)があり、実演家はもちろん研究者の拠点としても活用されている。(写真提供:国立劇場おきなわ)世界最高水準(Best in the World)、柔軟性、国際性、世界的連携、産学連携を基本コンセプトとして設立。2020年の新型コロナウイルスに関連して、綿あめ製造機を使ったN95マスクの製造や3Dプリンターによるフェイスシールドなどを発表した。(写真提供:沖縄科学技術大学院大学)内閣総理大臣談話」が閣議決定され、これに基づいて位置付けられた事業のひとつが「国立組踊劇場の設立」だ。国の主導で、基本構想・計画、調査研究が進み、2000(平成12)年に着工、2004(平成16)年に「国立劇場おきなわ」が開場した。同劇場は琉球芸能の拠点として根づき、公演のほか調査研究や組踊伝承者の育成にも力を入れている。年ノーベル生理学・医学賞)が就任。2011(平成23)年10月24日、文部科学省の認可が下り、翌年9月に学生の受け入れを始めた。OISTは、2019(令和元)年にイギリスのシュプリンガー・ネイチャー社による「質の高い論文に関するランキング」で9位に輝き、40位の東京大学を大きく引き離し、国内トップという高評価を受けている。

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